本棚 その3

めちゃくちゃ間が空いてしまった。そろそろ読んだ本の感想を書かないと忘れそう(何なら既にかなり忘れていそう)。3回目。これいつ書いたんだろう。前に書いたものを引っ張り出してきている。次は最近読んでいる漫画かな。本もたくさんあるんだけれど、うーん。



ファウスト』(作:ゲーテ、訳:高橋義孝

戯曲そのもの。上下巻で長い。この作品を読むきっかけとなったのは「ATRI -My Dear Moments-」というビジュアルノベルゲームで。主人公のとある台詞を見たときに真っ先に思ったことが「ファウストじゃん」。あらすじは元々知っていたけれど、たまたまそのあたりで戯曲にリベンジしようと思っていたこともあって買ってみた。
最近10年ぶりくらいに戯曲を読むことに挑戦していて、この作品は読みやすかった(昔は戯曲の文体がなんか受け付けなくてだめだった)。作者の特徴なのか、訳者の特徴なのか。非常に生き生きとしていて世界が鮮やかに感じられる。考えて理解するというよりかは感じられるというか。戯曲好きかもしれない。いや、この作品だけ好きな可能性もある。
最後の終わり方が好き。物語の中でくらい愛によって救われるのもいいと思う。



『椿姫』(作:デュマ・フィス、訳:新庄嘉章)

戯曲の元ネタ。古本屋で買って読み終わったあとに偶々人生初オペラとして観ることになった。結構原作とは異なっていたけれど、曲の良さと迫力があってよかった。生で聴く乾杯の歌、心揺さぶられる。あんなにいいものだとは。それにしても生オケを使って、歌手も15人以上使って、良いホールを使って、それでいて東京で6回しか公演やらないって…。大丈夫なのかな。
あとオペラグラスを使うのが楽しかった。FFⅩ-2のOPを幼少期に見てからああいうの少し憧れていたんだよな。
原作はもっと鬱々とした感じで。最期まで想いを内に秘めたまま亡くなっていく女性。自分が単純な人間だから、好きなのに身を引くってわりと理解不能だった。それで相手が幸せになってくれたらって、うーん。一方的にそうされるって普通に嫌というか。相手のことを考えてそちらの方がいいとか、本当かな。相手の本心を聞くのが、自分の本心を言うのが怖いからそういった言い方になるんじゃなかろうか。
とはいえど、本作については色々と時代背景を知らないとわからないのだろうな。身分関係とかどうしようもないものが多そう。全然関係ないけれど、娼婦といえば私は『罪と罰』のソーニャが好き。



『人間の土地』(作:サン・テグジュペリ、訳:堀口大學

エッセイ。物語という形式で覆われていない分、作者の思想が色濃く表れている。でもこの作者のテーマはいつも同じだと感じる。飛行機乗りという危険と常に隣り合わせの仕事をする作者の描く人間像は、厳しくて優しい。やっぱり好きだな、この人の作品。夜間飛行の方が好きだけれど、本当にどれも好き。
たまに思うのは、テグジュペリが好きなのか訳者の堀口大學の文体が好きなのか、どちらなのだろうということ。堀口大學はどうやら詩人らしい。そちらの作品も読んでみてもいいのかもしれない。



『いなくなれ、群青』(河野裕

随分前(数年前)に勧められた作品を今更ながら読んでみた。ストーリーが面白くてさくさく読める。あと文体に透明感があっていい。個人的には最後に両方取りに行った真辺由宇のあり方をとても好ましく思った。
一方から見て遥か遠くにあるものが魅力的に映ったなら、もう一方からもまた同じように見えている可能性もあるのかもしれないな、とか思ったり。どうなんだろう。