2023.12.07

今日も今日とて蜜柑を食す。皮を剥いて、残った薄皮ごと実を口に放り込み、咀嚼しながら甘い果汁をたんと味わう。とてもおいしい。

歯が三房目の薄皮に触れたとき、ふと、皮に包まれた粒の塊が圧力により徐々に形を変え、崩れ、中から液体が溢れる様子を想像した。次に、市販のグミやあまり質の高くないジュースの、香りが主体の「オレンジ味」を思い出す。それから漸くのこと、自らの口腔内にある今にも食べられそうな蜜柑に意識が戻る。噛む。途端に何を食べているのかよくわからなくなった。この味は何なんだろう。情報がまとまらず上手く認識できない。これは蜜柑のはずだったのに、間違いなく蜜柑なのに、蜜柑の味って何だろう。所謂ゲシュタルト崩壊を、味覚において初めて経験した。