ゼノブレイドDE その2

次はストーリーが終わったときと書いた気がするけれど、システムについて面白く感じた部分があったので記載しておく。端的に言うと、世界観とキャラクターの描き方について。世界に入り込ませる方法が面白いと感じた。このタイトルほど拘る必要はないと思うが、少なくともこのあたりに明確な違和感を覚えるとRPG特有の没入感は生まれないように感じた。

進捗としては終盤にかなり近づいている気がしていて、あと4分の1ほどだと思う。物語のテーマもだいぶはっきりしてきた。



・スキルツリー
パーティーに入れられるキャラクターにはスキルツリーがあって、育てていくと様々な恩恵が受けられる。アーツ(技みたいたもの)とは別で、一度獲得すると恒常的にバフが受けられたりする。初期状態はキャラクターごとに性格が3つずつ示されていて、それぞれの性格にスキルが5つずつ連なっている形。主人公のシュルクなら「博愛」「誠実」「直感」がデフォルト(ゲーム内では「基本的性格」とされている)。加えて、特定のクエストをクリアすると隠し性格が最大2つ追加される。すべて解放することもそんなに難しくないので、実際の攻略時にはどのスキルから獲得すると有利に進められるか考えながらレベルを上げるスキルツリーを決めていくことになる。
ところで、物語中盤あたりから解放可能になる1つ目の隠し性格(「本質的性格」とされている)では、主にキャラクターの欠点が描写されていて。シュルクだと「弱気」。そこまでストーリーを進めていると、彼は寛容で万人に親切にできる反面、優柔不断な一面もあることがなんとなく察せられる。実際に解放に関わるクエストでは、そういった面が殊更に強調された内容になっていて、本人もそれを自覚しているような描写が設けられている。ただ、単にマイナス面だけが強調されるというわけでもなく。持ちかけられた相談に対してそんな大事なことは決められないと消極的な態度を示すものの(個人的にはこの反応は相談内容からして当然だと思ったが…)、そういった相談を持ちかけられるのは彼の人柄ゆえ。他のキャラクターも同様に、短所として打ち出しつつも、それがキャラクターの持ち味だという見せ方になっている。それに、クエストクリアにやって性格が解放されることはクエスト開始時点では明示されておらず、完了させたときに不意打ちで隠し性格の追加が行われる。この驚きが人の新たな一面を知ったときの意外性とリンクしていて、二重に印象付けられた。
そして、2つ目に解放可能な隠し性格は、これまたシュルクだと「英雄」。終盤にならないと解放できないものの、ここがストーリーと噛み合っていて。詳細は省くけれど、元々衝動的に戦ってきたシュルクが、悩みながらも色んな経験をもとに自身の結論を出したタイミングでないと、この性格は解放されないんだよな。
他にも「依存」と「愛情」など、キャラクターの性格を様々な角度から描写するための工夫がされているように感じる。キャラクターの特徴と成長をゲームシステムにおいても適切な時系列で味わうことができる、優れた表現だと思った。メインストーリーを追っているだけでは気が付かない、様々な表情。かけた時間の分だけキャラクターを深く知ることができるのは嬉しい。こういうゲーム好き。

・世界で暮らす人々の行動
とにかく細かい。まずもって、キャラクター数が多い。名前のあるキャラクターは何人いるんだろう。100人弱はいそう。その名前のあるキャラクターたちは、皆行動時間や行動パターンが違っている。例えば、8時に特定の場所に現れて18時から家に帰り始めて19時には消える、みたいな。それに伴ってクエストを受注できる時間が限られているとか、ゲームとして面倒な部分もあるけれど、こう、自然な生活感が多分に感じられる。人間関係もある程度設定されていて。モブじゃないモブがたくさんいるだけでこうなると考えるとすごい。

・フィールドの随所に感じる工夫
時間経過で天候が変わる。虹や陽炎が出る地域、特定のイベント中は雷雨固定、特定の天候でないと出現しないモンスターなど。これも作られたフィールドを歩いているというより、自然な環境に近しい気がして、個人的には好ましい。以前触れた、めちゃくちゃ強いモンスターがちらほらそのあたりにいるのと近いかも。他にも昼と夜で出てくるモンスターが違ったりもして。生態系とか、天候とか、時間経過とか、クエストで触れられる人とモンスターとの関係性とか、このあたりは世界観を頭の中で形作るにあたってかなりの補強材料になっているのだろうな、と思ったり。単にレベル相応の敵を配置しただけとか、一本道なだけとかでないから、わざとらしいとは感じにくくなっているのかなと思う。自由度が高いからやらされている感もあまりないし。(たまに感じるけれど、どちらかというとそれは移動の面倒さが主な原因。没入させる工夫の一貫または容量の問題でそうしているのかなとは思っているけれど、さすがに面倒。)

・クエス
エストから色んな情報が得られるのでついついやってしまう。このアイテムを取ってきてと言われてストーリー上行かなくてもいい秘境に行かされるとか、強化アイテムが手に入るとか、人間関係が垣間見れるとか。個人的には、花粉玉工場の横領からの横流しの話が一番面白かった。続きが気になってノンストップで進めてしまった。
あとは、選択肢が現れるものがある。大抵のゲームだと選択肢が表示されてそこから選ぶといった形式が多い気がするけれど、ゼノブレイドはクエストを受注した段階からルートが2つあることを明示してくれることも多くて。例えば、剣を渡すか盾を渡すかプレイヤーが決められて、両方ともどこに置いてあるのかを最初から教えてもらえる。そうすると、プレイヤーは自分の意志でバラバラの場所に置かれている剣と盾のいずれかを選んだ上で、自分の答えに従って取りに行かないといけない。自分で選ぶのみならず動くところまで行うので、カーソルを合わせて選択肢の一方をただ選ぶよりも重みがのってくる感じがする。他人事にさせてくれないというか。そのうえで、選択によってきっちり結果が変わってくる。これで本当によかったのだろうかと思わされることもしばしばあった。まあ、ゲームなんだけれど。