2023.01.15

人間誰しも、人に知っておいてほしいことや知られたくないことがあると思う。ところで、自分は口に出そうとしても出せないものは多数あるものの、訊かれても答えたくないほど知られたくないことは特にないと思っていた。でも、違ったかも。1つあるな。

自分の中のそれはなんというか、正直本質的には私と全くの無関係なところにあって。それでも絶大な力を持っている(ように私には見えている)。たぶん不安なのだと思う。それを知ったが最後、相手が見ている私は何になるのかわからない。少なからず影響されることがわかっているからなるべく言いたくない。

普段は意識の表層に上ってこないのだけれど、たまに思い出すタイミングがある。以前、それを知っていた人が周囲の人に伝えてしまったことがあったようで。別に悪意があったわけではないと思うから、そこは仕方ない以上に思うところはなかった。ただ、過去にある程度親しくしていた人がそれを知った上で、敢えて知らない素振りを見せていたことに気がついて。なんというか、相手は3年間私の何を見ていたんだろうなって、どうしようもない気持ちになった。伝えていなかった私が薄情なのだろうか。

数年前、他人のそういった秘密をたまたま知ってしまったことがある。なんか、本当に知りたくなかった。「本人は隠しているから内緒でね。」それならどうして私に伝えたのだろう。物凄く嫌な気持ちになった。悪意はないんだろうな。実際悪いことではないのかもしれないし、知られたところで何か減るものでもないと思う。でも、こればかりは本当に知られたくないし、隠したい気持ちもわかる。

知られたくないと思い始めた後で、そのことを進んで話した相手が1人だけいる。話したときのこと、話した場所、どちらも今でも覚えている。なんか、知ってほしかったんだよな。知られたくなくても、自分のことを話すうえでどこか絶対に避けて通れないこともわかっていて。それまでたくさんの物事を話して、嘘偽りのない私をもって接した相手だからこそ、そんな私も知っておいてほしかった。知った上で私のことをそのまま見てくれるのだと疑いもせず。適当な理由をつけて伝えた。何も変わらなかった。本当に何も変わらなくて、少なからず安心した。心を許すというのは、ああいうことを言うのだと思う。あれももう6年ほど前のことか。