2022.11.08

自分の仕事は中々人に詳細を話せないもので。それでも、とても大切な役割だと思う。共感されなくてもわかってもらえなくても、そういった考えは持っておきたいし、もっと色々なことを知っておきたい。仕事に対するモチベーション、ちゃんと自分で見つけておく必要がある。自分が生きていくためというのは最もなのだけれど、それ以上のもの。自分の中でももっと確固たるものを見つけていきたい。

 

それにしても今日の仕事は重かった。ちゃんと勘が働いてよかったものの、気が付いた瞬間体感温度が3度ほど下がったような。つくづく大切な仕事だなと思う。ただ、もっと悪どいことを考える力がないととだめなのもわかってきて、なんとなく私はそこに適性がない気がしたり。どうなんだろう。案外自分なりの上手い思考の働かせ方があるのだろうか。捻くれた発想もそこそこ活きるから、どちらも持っておきたい感じはある。

 

仕事が終わってもお腹の痛みが治らなくて、病院を予約した。今日までに治らなかったら行くと決めていたから。仕事終わりの人だらけで待ち時間が長く、それまでの間月を見るためにお気に入りの場所に徒歩で向かう。いつもは遅い時間だとあまり人がいないところなのに今日はぽつりぽつりと人がいて、皆既月食の話題性を実感する。適当に間隔を空けて座ってみると、誰も何も話さないのに皆空を見上げていて、何だか妙な連帯感があるというか。都会の喧騒から少し隔絶された空間、時折吹く冷たい風、知らない誰かの砂を踏みしめる音、錆びたような色の月。すべてが心地良かった。にしてもさすがに11月の夜は寒い。

皆既月食になる直前、少しだけ見えている月の光が眩しくて、脳内にめちゃくちゃエルデンリングのBGM流れてた。ルーンじゃん。黄金律じゃん。あとはちょっとでこぽんっぽいな〜とも思ってた。空にあるでこぽんをたくさんの人がまじまじと眺めていると思うとなんか面白くてちょっと笑ってた。

 

満足したら病院に向かって、30分ほど待った後に診察を受ける。結果を聞いて、なんというか。予想外。腫瘍があるらしい。腹痛には関係ないらしいけれど。腫瘍とか自分にもあるんだなって。様子見ってつまるところ経過観察か。大きくなったら危ないのかな。現実味がないというか。ちょっと怖いかも。まあ、今打てる手がないなら別に気にしても仕方がないのだけれど。訊いてみたら年に1回は検査をした方がいいとのことで、なるべく気をつけようと思った。

主訴については痛み止めの薬を飲むか、症状を和らげるための薬を習慣として飲むかしかないとのこと。とても丁寧に穏やかに色々教えてくださって、だからこそ本当にどうしようもないことがわかってしまって。後者の方法も前から気になってはいたけれど、毎日薬を飲まないと効果がなく、結局それも薬を飲むことをやめてしまったら戻るだけで根本的な解決にはならないらしい。「我慢できないほど痛いときにだけ薬を飲むか、毎日薬を飲んで緩和させるか、どちらにしますか?」と訊かれた。分かりやすいし選びやすくて私みたいな人間には助かるかも。でも、何も目立った原因はないし、体質だろうから打てる対策もそれしかないと言われてしまうと、何だか聞いているうちに人前なのに泣きそうになってしまった。

気持ちの整理をしながら診察室を出る。慣れない様子でレジを打つ先生を見て、21時を回って診察してもらえたことへの感謝の気持ちが再度じわじわと湧いてきた。そのまま素直に伝えてみたら、ちょっと照れた様子でなんとなくほんわかする。

病院を後にして歩きながら、誰かと話したい気分なような、そうでないような。正直ちょっと話を聞いてもらいたい気はしつつ、こんな話誰にもできないよな。元々誰かに話したところで解決策がある話でもない。ここに吐き出すだけで少しは楽になっているのだろうか。