一次回答

少し落ち着いたから、もう少し書きたい。おいしい紅茶とクッキーには魔力がある気がする。安らぎのひととき。以下、主に付き合い始めてからのこと。



彼との関係性を変えてから既に4か月ばかり経つ。最初は実感が何もわかなくて、ずっと失恋しているような気分だった気がする。(失恋という言葉選びに深い意味はない。恋も愛も定義がないので。)付き合いましょうと改めて言われたときも、嬉しいとは思えなかった。9月末に髪を短くして、それまでしたことのない髪型になった。見慣れない自分に不安を感じたけれど、形から入って気分を一新できたらと思って。10月に好きだと言ってもらって嬉しかったけれど、なんとなく自分のものと違うことには気がついていて、理解できなくて悩んでいた。それでも今は彼との関係に別に幸せの欠片を感じないわけでもない。何もしてもらってないとか、そんなこと思っていない。夜遅くまで通話に応じるとか、あちらからすると大したことがなくても、私にとっては大きなこと。元彼との付き合いが一方的にもらってばかりだったこともあってそれしか私の中にサンプルがなく、当初想定していた形ではなかったかもしれないけれど、確かに満たされている部分があるにはあって。特に年末に一緒にいたときには顕著にそれを感じた。

やっぱり特別これといった何かをもらいたいわけじゃないんだよな。一緒にいられたらそれでいいだけで。それがたぶん理想に表れている。同じ部屋で違うことをしている。お互い色んなものに興味があってそれに意識を割く。それは別のものでも、勿論一緒のものでもいい。でもそうやって色んなものに労力を割いたあとの、残った部分を共有しておきたい。クッキーの型を抜いたあとの残りの生地みたいな。紅茶を飲みたいと思ったら、ついでに相手にも飲み物をいれて。そんなささやかな日常。自分や相手がたまたま何かを見たいと思ったときに、気が向いたら一緒に見にいく。付いていっても、付いていかなくてもいい。でも相手が綺麗に思うものが一緒に見られれば嬉しいかもしれない。少し時間が空いたときに、他愛もないことを話す。そういうの。その相手が彼だったらいいなと今は思っている。思ってはいるけれど、さすがに私一人がそれを望んだところで仕方がないことはわかっている。正直この部分はまだ整理がついていない。望んで選んでほしかったのは、私が彼と一緒にいたかったから。私も相手から望まれないと、それが難しいことが感覚的にわかっているから。どうやら彼はそういう関係性を望んでいなさそう。訊くのが怖くて直接的には言っていないけれど。

約束を反故にされるのは単純に蔑ろにされているということで。すると、私の知らない自分が勝手に反応して自分に価値がないと言っている感じがする。これは枠組みのこと。彼に悪意はないんだろうし、そこを説明さえしてもらったら、枠組みの存在に気がついた今は別に許容できる。だから、昨日引っかかったのは、約束を破って何も思わないのかなというところで。以前のように付き合っているのになんで?とは正直思わなかった。「なんで私の優先順位が高くないのか?」ではなく、「意図せずとも人をそういう風に無碍にしてしまったのなら、それなりの誠意を見せるものじゃないの? せめて説明くらいはしてよ」っていう。そういった話をしたつもりだった。別に私の優先順位が高くないことについては、お付き合いをする上で受け入れられると思ったから。自分が持っているものとは違っていても、この人はそうなんだなって。別にそこは比例しないのかもなって。私は他人の持っているものが中々見えないから、自分の持っているものと違ったら都度疑問に思うし、理解に時間はかかるけれど、一度受け入れられるなと思ったら普通にそうできた。まあかなり悩みはしたものの、昨日実際に付き合っている云々で引っ掛かりがあまりなかったから、感覚的にそう思えてきたんだなって。話を聞いてみたら行動原理も理解できる。たぶん枠組みの存在を把握できたことも大きい。一方的に通話の連絡をするのも、そもそも誰に対しても気が引ける部分はあるし、予定を聞けても急用で断られることも多くて少し寂しくもあるけれど、何だかんだできている。あとは作った曲や好きなもの、経験したものを共有してもらうと嬉しくなる。少しずつ知らないうちに、4か月前の私とはかなり違った心境になっている。不思議。

好きって何?と訊かれたけれど、なんかそういうものかもしれない。自分の中にあるものと違っていても、すんなりとはいかなくても案外受け入れられるものだなって。とはいえど、借金の連帯保証人になるとか言われたら普通に嫌だし、どこまでそう思えるのかは知らないけれど。当初思っていたものと違っても、私を優先しなくても、それでも迷いなく彼のことが好きだと言える。優しいと思っているし、与えてもらっているとも思っている。これまで義務的なものはあれども、自発的に人に何かを与えたいと思うことはあまりなかったのに、今では人を幸せにできればいいのになとどこかしらで願っている自分がいる。何をしてもらえるかだけでなく、何がしてあげられるか考え始めている自分。付き合い始めてからしばらくして出てきた。綺麗な景色を写真に撮って共有するとか、おいしい卵焼きが作れるようにならないかなとか、運転ができたら色んなところに連れて行ってあげられるようになるのかなとか(これは拒否された)、こういう服装どうかなとか(小糸侑さん以外に興味なさそう。でも着たことない系統の服に挑戦してみたら案外似合うことに気がつけて嬉しかった。提案してくれた下の妹に感謝)。勝手においしい芋けんぴを押し付けたい。阿闍梨餅は押し付けることに成功した。自分の持つものが少なすぎて、相手のこともわからなさすぎて何がいいのかはよくわからないけれど、向こうが望むものの中で私にあげられるものが何かあるなら、それをあげたい。あまり上手くいってはいないけれど。勿論一緒にいたいとか、私が望んでいることもある。なんかそういうもの全部?

子供とか結婚とか収入とか、そういった気持ちだけでどうにもならないものをすべて取り除くなら、別に一緒にいられるだけでいいのかもしれないと思っている。その一点だけでどう考えても致命的に遠距離に向いていなくて笑ってしまう。まあ近くにいてもどうせ価値観の相違とか諸々あるんだろうけれど、それでもどこか受け入れられるし、好きでいられる気がしている。なんとなく。根拠のない何か。時間が経てば、今思っていることが本当かどうか確かめられるかも。